エンディングノートの「お墓・埋葬・供養」のページを開くと、急にペンが重くなりませんか?
埋葬や供養は亡くなったその場かぎりのものでなく、その後も続くことですので、判断が慎重になるのは自然です。
すぐに決められないから後回しにしたくなるかもしれません。それでも、具体的に決めていなくても大きな方向性を示すことで残された家族の悩みを軽くする助けになります。
まずは今の気持ちをとりあえず書いてみましょう。
なぜ「お墓」や「埋葬」にのことを生前に書いておく必要があるの?
「お墓をどうするか」は、遺された家族にとって、その後の何十年にもわたる管理や費用(誰が引き継ぐのか)に関わる、実務的にとても大きな問題です。
現時点で管理すべきお墓があるのか。今後、お墓をどのようにしてほしいのか。
あなたの希望がひとことあるだけで、家族の迷いやトラブルを減らす助けになります。
自分自身が祭祀承継者になっていないか?
ご自身の埋葬の希望を考えると同時に知ってほしいことがあります。
「祭祀承継者(さいししょうけいしゃ)」というものをご存じでしょうか。
祭祀承継者とは、一般に、お墓・仏壇・位牌など先祖をまつるための財産や、その管理・供養を引き継ぐ立場の人をいいます。
これは、亡くなった方の指定によって決まり、指定が明らかでない場合は慣習によって決まり、それでも決まらない場合は家庭裁判所で定められる場合もあります。
祭祀主宰者となっている、そして承継している祭祀財産がある場合、祭祀を管理していく必要があります。
それは、自分自身の埋葬方法を考える上でもベースになるものです。
例えば、祭祀主宰者に指定されていて、祭祀財産の中に先祖代々のお墓が含まれていたとします。祭祀財産の存在を家族に知らせないまま、自分自身は「海に散骨してほしい」と書くだけであればどういったことが起こるでしょうか。
残された家族が、亡くなった後になって初めて先祖代々のお墓の存在や事情を知り、その維持管理や法要をどうしていくかで戸惑ってしまう可能性があります。また、お墓をどう管理していくか、誰が引き継ぐかについて、親族間で話し合いが必要になり、家族に負担をかけてしまうことも考えられます。
また、これまでお世話になってきた菩提寺がある場合は、散骨など従来と異なる供養方法を希望するときに、事前の相談が必要になることがあります。事情を共有せずに進めると、お寺や親族との関係が難しくなることもあります。
まずは祭祀承継者に自分がなっていないか確認して、引き継いでいる祭祀財産にどのようなものがあるかリストアップしましょう。そして、今後それらをどのようにしたいのか整理したうえで自分自身の埋葬方法を整理すると、残された家族にもやさしい意思表示となります。
自分が祭祀承継者にあたるか確認するポイント
自分が「祭祀承継者」であるかどうかは、主に以下の方法で確認できます。
- 先代の遺言書やメモ、家族への伝え方を確認する
- 親族間の合意や慣習を確認する
- 墓地使用者名義、墓地使用承認書、管理料の支払い者などを確認する
- 菩提寺との関係や檀家名義を確認する
これらが不明で親族間で意見が分かれる場合は、最終的に家庭裁判所の調停や審判によって決定されます。
エンディングノートに書いておきたいこと
エンディングノートには以下の内容を記載しましょう。
- 自分が祭祀承継者かどうか
- 管理しているお墓・仏壇・位牌等の祭祀財産
- 祭祀財産の所在地、契約名義、連絡先
- 今後どうしてほしいか
- 自分自身の埋葬の希望
自分の希望する埋葬のスタイル
最近では、「自然に還りたい」「子どもにお墓の管理で経済的な負担をかけたくない」という理由から、樹木葬や海洋散骨、小さなお骨壺を自宅に置く手元供養を希望する方もいます。樹木葬、納骨堂、散骨、永代供養墓など、埋葬や供養の選択肢は多様になっています。費用や管理方法、家族の負担も含めて、自分に合う方法を検討してみましょう。
それぞれが自分の望む埋葬方法を記載していいのですが、本人の希望だけでは済まない一面もあります。
親族と考え方が異なることもあります
管理の負担を減らしたいと、自分の代で墓じまいを検討することもあると思います。
しかし、先祖代々のお墓があると、それを大事にしている親族からは理解を得るのが難しいことがあります。
家族が寂しさを感じることもあります
管理の負担を減らしたいと、自身の墓を作らず海洋散骨を希望したものの、後から家族が「手を合わせる場所がない」と寂しい思いをする可能性があります。
家族の気持ちにも配慮をした、すこし柔軟な希望を書いておくことで、家族の気持ちにも寄り添うことができます。
「子どもたちにお墓の管理で苦労をかけたくないので、樹木葬や永代供養墓を希望します。場所はみんながお参りに来やすい霊園を話し合って決めてください。」
「遺骨は海に散骨してほしいです。ただ、もしみんなが寂しいと思うなら、全部を撒かずに一部だけ小さなミニ骨壺やペンダントに残して、手元で供養してくれても嬉しいです」
現在は祭祀承継者でなくても、自分から子孫への承継が始まる
自分が現在、祭祀承継者でない場合でも、亡くなった後には、ご自身に関するお墓や遺骨、位牌、仏壇などを誰が引き継ぎ管理するかが問題になります。
これらを今後だれに引き継ぐのか、希望を示しておきましょう。
誰に引き継いでほしいか明確な希望がある場合は、遺言書などで意思を示すことも検討できます。実際に指定する場合は、事前に本人とよく話し合っておくことが大切です。
自分の希望がないなら任せてもいい
自分自身に明確な希望がない場合、希望がないことも書き残しておきましょう。
「誰に任せる」という意思表示と、その奥にある思いが書いてあることで、残された家族の悩みは少し軽くなります。
任せるときに白紙委任ではなく、「お金はかけなくていいよ」「無理のない範囲で」「〇〇だけは避けたい」という方向性を示すことで、さらに決めやすくなります。
自分に希望がない場合、費用や管理を担う家族と話し合うことも大切です。
お墓・納骨堂・永代供養などの費用の準備状況
残された家族としては、お墓・納骨堂・永代供養などの費用が準備されているのかとても気になるところです。現金で準備されているのか、保険金等で準備してあるのか、契約が済んでいるのか、支払いは完了しているのかなどを記載しておきましょう。特に、費用のかかる埋葬方法を希望する場合は、その費用の準備状況を書いておくことが安心につながります。
なお、一般に、お墓など祭祀に関する財産は、通常の相続財産とは異なる扱いを受けます。生前にお墓を準備する場合と、亡くなった後に家族が費用を負担して準備する場合とでは、法的・税務的な取扱いが異なることがあります。具体的な判断は個別事情によるため、必要に応じて税理士などの専門家に確認すると安心です。
葬儀・埋葬後の「供養」の方法について
仏壇や位牌、法要などの「供養」についても希望を書き残しておきましょう。
供養に対する考え方は、個人の宗教観や家族の生活スタイルによって多様化しています。
伝統的なしきたりを重んじて「先祖代々と同じように手厚く法要を行ってほしい」「立派な仏壇や戒名を引き継いでほしい」と願うこと。
現代の住宅事情や家族の負担を考慮して「仏壇はコンパクトなものにしてほしい」「毎年の法要は省略し、心の中で思い出してくれれば十分」と望むこと。
どちらも等しく尊重されるべき大切な意思表示です。
残された家族が「どこまで形式にこだわるべきか」と悩んだり、親族間で意見が食い違ったりするのを防ぐために、あなたの「いまの率直な希望」を言葉にしておきましょう。「家族におまかせする」という選択肢も含め、あなたの本音が一言あるだけで、遺族の悩みを軽くする助けになります。
まとめ
埋葬・供養のページは自分の希望を書くだけでなく、残された家族の先々のことも考えることが大切です。
- 決めきれないときは、こだわりの有無や避けたいことだけでも書いておく
- 必要に応じて家族と話し合いながら更新していく
完璧でなくてもかまいませんので、家族にメッセージを残しておきましょう。


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