なぜ預貯金について書くのか
預貯金は、誰もが日常的に利用している最も身近な財産です。しかし、ご自身に万が一のことがあった場合や、認知症・入院などでご自身による管理が難しくなった場合、家族が「どの銀行にどんな口座があるか」をすべて把握しているケースはそれほど多くありません。使わなくなった口座やネット専用の口座などが放置されてしまうと、残された家族が探す手間や確認の負担を抱えることになります。
「どこに口座があるか」という最低限の手がかりをノートに残しておくことは、家族が状況を把握し、その後の確認や対応を進める際の助けになります。
預貯金について書くときのポイント
暗証番号やネットバンキングのパスワードは書かない
家族の手間を減らそうとして、キャッシュカードの暗証番号やネットバンキングのログインパスワードをノートにそのまま書き留めることには、防犯上のリスクや漏洩の懸念が伴います。認証情報の直書きは避けましょう。
紙の通帳がない口座(通帳レス口座・ネット銀行)を意識する
近年は紙の通帳を発行しないネット専用口座やWeb通帳が増えています。「通帳の保管場所」だけを書く欄だと、通帳が存在しない口座が見落とされてしまう場合があります。紙の通帳がある口座なのか、通帳レスの口座なのかを識別できるように整理しておくことが大切です。
是非とも書いておきたい項目
家族が口座の存在を把握し、その後の確認や対応につなげるために、優先して残しておきたい情報です。
金融機関名・支店名(または店番号)
「〇〇銀行 〇〇支店」など、口座が存在する場所を特定することが確認の第一歩になります。
口座の種類と口座番号
普通預金、定期預金などの種類と口座番号を記しておくことで、家族が照会や手続きを行う際の手がかりになります。
口座の名義人
本人名義の口座だけでなく、子ども名義で管理している口座がある場合、区別して書き残しておくことで、その口座の目的や管理状況を家族が把握しやすくなります。
口座の形態(通帳の有無)
「紙の通帳あり」「通帳レス・ネット専用」の区別を明確にしておくと、家族が通帳を探し回る手間を防ぐことにつながります。
書いてあると助けになる情報
亡くなられた後の手続きだけを考える場合は基本の項目でも足りますが、認知症や入院など、その後の生活管理まで想定すると、書いておく情報が増えます。生活を維持するために、現状の把握が必要だからです。
口座の用途
給与受取口座、生活費の管理口座、貯蓄用など、どのような目的で使っている口座なのかを書いておくと、家族が全体像を把握しやすくなります。
主な入出金
年金や給与などの入金、公共料金や家賃、学校の授業料、クレジットカードなどの主な引き落としを書いておくと、認知症や入院などで本人が管理できなくなった場合にも、家族が生活を維持するための手がかりになります。
細かい1つ1つのサービスは、「契約しているサービス」のページに書いた方がすっきりします。
通帳・キャッシュカードの保管場所
通帳の記帳内容や口座の利用履歴は、公共料金や契約しているサービスなど、現在の生活状況を確認する手がかりになります。認知症や入院などで本人が説明できなくなった場合にも、家族が状況を整理しやすくなります。
なお、ネット銀行など通帳が発行されない口座では、本人が認知症や入院などによりログイン操作を行えない状況になると、家族が日常の利用状況を確認することが難しくなる場合があります。しかし、確認のためにログインパスワードなどの認証情報をエンディングノートに残すことは、不正利用や情報漏洩のリスクにつながるため避ける必要があります。
そのため、預貯金の情報だけでなく、「どのようなサービスを契約しているか」「毎月どのような支払いが発生しているか」を別途整理しておくことも大切です。
関連記事:エンディングノートの「契約しているサービス」の書き方(予定)
記載例
ノートのスペースに書く際の、シンプルな記入例をご紹介します。
【口座①】
- 〇〇銀行 〇〇支店
- 種類・番号: 普通預金(1234567)
- 名義人: 〇〇 〇〇
- 備考:生活用の口座です。
入金:年金
出金:光熱費、クレジットカード
通帳は他の貴重品と一緒に引き出しに入れています。
【口座②】
- 〇〇ネット銀行 〇〇支店
- 種類・番号: 普通預金(1234567)
- 名義人: 〇〇 〇〇
- 備考:
△△証券口座と連携しています。
出金:小学校の授業料
入金:太陽光発電、児童手当
【口座③】
- 〇〇ネット銀行 〇〇支店
- 種類・番号: 普通預金(2234567)
- 名義人: 〇〇 △△(長男)
- 備考:子ども本人名義の口座。お年玉などを管理しています。
まとめ
預貯金の情報を整理する際は、残高まで細かく記録しようとすると、途中で負担を感じてしまいがちです。「どこに、どんな種類の口座が、誰の名義であるか」という手がかりを残してあれば、まずは十分です。
認知機能の低下や入院などにより、ご自身で預貯金の管理が難しくなった場合には、生活に支障をきたさないように家族が預貯金口座の使用状況を把握する必要性も出てきます。ご自身が通帳の場所を思い出せなくなったり、家族へ説明できなくなったりする可能性も考え、事前にヒントを残しておくことが大切です。
詳細な手続きのルールにつきましては金融機関や状況によって異なりますので、実際の対応の際は各窓口や関係機関、専門家へ確認しながら進めていただくよう、家族に伝えておくとより安心です。
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