保険は、契約していても家族がその存在に気付き、必要な請求手続きを行わなければ、保険金や給付金を受け取ることができません。特に近年は、紙の保険証券ではなくWeb上で契約内容を管理する保険会社も増えており、家族が契約の存在を把握しにくくなっています。
生命保険については、「被保険者の死亡後、一定期間内に請求しないと請求権を失ってしまう」ため注意しましょう。
また、ご本人が亡くなった場合だけでなく、認知症などで判断力が低下した場合にも、家族が契約内容を確認しながら必要な手続きを進めなければならない場面があります。
そのため、エンディングノートには「どこの保険会社と契約しているのか」が分かる情報を残しておくことが大切です。
保険について書くときのポイント
保険の存在を把握できる情報を残す
本人の判断力が低下した場合でも、家族だけで自由に契約内容を変更したり、解約したりすることはできません。必要に応じて保険会社所定の手続きや、成年後見制度などの法的な手続きを検討することになります。
その際、保険会社名や証券番号、保険証券の保管場所などが分かっていると、家族が状況を確認し、適切な手続きを進める際の助けになります。
ログインIDやパスワードは書かない
近年はWebで契約内容を管理する保険会社も増えています。しかし、ログインIDやパスワードをエンディングノートへ書き残すことは、防犯上のリスクや情報漏えいにつながるおそれがあります。
家族が契約内容を確認する必要が生じた場合は、本人のアカウントへログインするのではなく、保険会社へ相談し、正式な手続きを利用するようにしましょう。
契約内容を細かく書こうとしない
保険の種類や契約内容は見直しや更新によって変わることがあります。細かな契約内容までノートへ書こうとすると、更新が負担になってしまいます。
まずは契約している保険会社や保険の種類、証券番号など、契約を特定できる情報を残すことを優先しましょう。
是非とも書いておきたい項目
保険会社名
どの保険会社と契約しているかが分かることが、契約内容の確認や保険金・給付金の請求を進める第一歩になります。保険会社が分からなければ、家族はどこへ問い合わせればよいか分からず、契約の存在を見落としてしまう可能性があります。
契約者
保険料を支払っている人(契約者)が誰なのかを書いておくことで、家族が契約内容を理解しやすくなります。本人以外が契約者になっている保険もあるため、契約者と被保険者を区別して記載しておくことが大切です。
被保険者
誰を対象とした保険なのかが分かるようにしておきます。家族全員の保険をまとめて管理している場合でも、誰の保険なのかが一目で分かり、請求漏れや勘違いを防ぐことにつながります。
受取人
死亡保険金や満期保険金などを誰が受け取る契約になっているかを書いておくと、家族が契約内容を理解しやすくなります。受取人が古いままになっていないか確認するきっかけにもなります。
保険の種類(生命保険・医療保険・がん保険・自動車保険など)
どのような目的の保険なのかが分かると、家族が必要な手続きを判断しやすくなります。例えば、入院した際には医療保険やがん保険、亡くなった際には生命保険など、状況に応じて確認すべき契約を整理しやすくなります。
保険証券など書類の有無と保管場所
近年は紙の保険証券を発行せず、契約内容をWeb上のみで管理する保険会社も増えています。紙の証券がないことを書いておけば、家族が保険証券を探し回ることを防げます。
書いてあると助けになる情報
証券番号
証券番号は契約を特定するための重要な情報です。保険会社へ問い合わせる際や、保険金・給付金を請求する際の手続きがスムーズになります。
保険料の支払方法
口座振替やクレジットカード払いなど、どのような方法で保険料を支払っているかを書いておくと、家族が支払い状況を確認しやすくなります。認知症や入院などで本人による管理が難しくなった場合にも、契約の継続状況を把握する手がかりになります。
担当代理店・担当者
担当代理店や担当者が分かれば、契約内容や請求手続きについて相談しやすくなります。担当者が変わっていた場合でも、代理店名が分かれば引き継ぎ先を案内してもらえることが多く、家族が最初の相談先を見つけやすくなります。
指定代理請求特約など、利用している制度がある場合はその旨
指定代理請求特約や保険契約者代理特約などを利用している場合は、そのことを書いておくと、本人が手続きを行えない状況になった際に家族が制度の利用を検討しやすくなります。契約内容を一から調べる手間を減らすことにもつながります。
※指定代理請求特約
受取人である被保険者が病気やケガで意思表示できないなど、自ら保険金や給付金を請求できない特別な事情がある場合に、あらかじめ指定された代理人(指定代理請求人)が本人に代わって請求できる制度です。
契約内容で家族に伝えておきたいことがあれば一言添える
保険の中には、契約者本人しか知らない事情によって、通常とは異なる契約内容になっている場合があります。
例えば、私の場合は、自宅兼事務所として使用しているため、事業用の条件で火災保険に加入しています。私が亡くなった後は事業を廃止することになるため、保険会社へ相談し、契約内容を見直してほしいと考えています。
そのため、エンディングノートには保険会社名や証券番号だけでなく、
「自宅兼事務所のため事業用契約になっています。廃業後は契約内容の見直しをお願いします。」
といった一言を添えています。
保険の契約内容は家庭ごとに異なります。一般的な情報だけでは伝わらない「わが家だけの注意点」があれば、簡単なメモとして残しておくと安心です。
記載例
- 保険会社:〇〇生命
- 契約者:〇〇 〇〇
- 被保険者:〇〇 〇〇
- 受取人:〇〇 △△
- 証券番号:123456789
- 保険の種類:終身保険・医療保険
- 関係書類の保管場所: 書斎の青いファイル「証券関係」を参照
- 備考:指定代理請求特約あり(〇〇 □□)
- 保険会社:△△損害保険
- 契約者:〇〇 〇〇
- 被保険者:〇〇 〇〇
- 受取人:〇〇 △△
- 証券番号:987654321
- 保険の種類:自動車保険
- 関係書類の保管場所:紙の保険証券なし(Web契約)
- 保険料の支払い方法:〇〇カード
- 備考:代理店は〇〇保険サービス
まとめ
保険の情報を整理する際は、補償内容や保険金額まで細かく書こうとすると、途中で負担を感じてしまいがちです。
まずは「どこの保険会社と契約しているか」「どのような保険か」が分かるだけでも、家族が確認や請求を始める大きな手がかりになります。
なお、認知症などで判断力が低下した場合や、ご本人が亡くなった後の手続きは、保険会社ごとに必要書類や手続きが異なります。実際に手続きを行う際は、各保険会社へ確認しながら進めるよう家族へ伝えておくと安心です。
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