【自分の意思と家族の心を守る】エンディングノートの「医療・介護・病名の告知の希望」の書き方

目次

なぜ「医療・病名の告知・介護の希望」について書くのか

エンディングノートに医療・病名の告知・介護の希望を書き残す理由は、病気や事故などで自分の意思を伝えることが難しくなったときに備え、自分が望む医療や暮らしについて、家族や医療・ケアチームに伝えておくためです。

認知症の進行や突発的な病気・事故により、自ら意思表示ができなくなったとき、選択を迫られるご家族の心理的負担を軽減する役割も果たします。

「チェックを入れるだけ」ではなく、その理由が大切

エンディングノートは、まずは書くことが大事です。

□ 延命治療をしてほしい  ☑ 延命治療は望まない

□ 病名の告知をしてほしい  ☑ 病名の告知を望まない

□ 自宅で最後まで過ごしたい  ☑ 施設に入りたい

しかし、これらをノートでチェックしただけでは、あなたの本当に望む形にはならないかもしれません。結論だけでは、現場の医療介護福祉職やご家族は「なぜその選択に至ったのか」「本人が望むこと(望まないこと)が具体的にどのようなことなのか」を理解、推定するのが難しいことがあるからです。

是非とも書いておきたい項目

治療・病名の告知・介護の希望

自分が何を希望するか、その最終的な結論の部分です。これが判断の軸になります。

治療の希望

「延命治療を望まない」と考えている場合、どのような病状や状態を想定しているのか、どのような治療を避けたいのかを、可能な範囲で具体的に考えてみましょう。判断に迷う場合は、医師などの医療関係者に説明を求めながら整理することも大切です。

告知の希望

病名の告知について、「全てありのままに告知してほしい」「病名は知りたいが余命は知りたくない」「一切告知してほしくない」「家族に判断を任せる」など書きます。あわせて、家族に病状をどこまで伝えてよいかについても希望を書いておきましょう。

介護の希望

「どのような場所」で「どのような暮らし」を、「誰による介護」を希望するのかを記載します。

その選択に至った理由・価値観

単なる希望だけでなく、「なぜそう考えるのか」「人生で何(家族との時間、自宅での生活、自分らしさ等)を大切にしているか」という理由や価値観を文章で書き加えます。

人生の最終局面を迎える時、本人の希望が記載してあったとしても、ご家族や医療職の判断がゆらぐ状況が起こり得ます。そのとき、選択の背景にある価値観が伝わっていることで、「きっと本人ならこれを望む(望まない)はずだ」と、ご家族や医療職が本人の真意を推定して判断しやすくなります。

判断を支えてくれる「代弁者」の指定

自らが意思決定できなくなった際、自分に代わって医療・介護の判断を支えてくれる「代弁者」が誰なのかを明記します。代弁者とは、「本人の意思を尊重し、本人に代わって判断を支えてくれる人」です。あらかじめこの人物を特定しておくことで、現場の混乱(誰に意見を求めればいいのか)を防ぎます。

代弁者との話し合いの有無と、代弁者に託す範囲

指定した代弁者に対して「自分が代弁者になってほしい旨を伝えているか」「実際に話し合ったことがあるか」を記載します。併せて「代弁者にどこまでの判断を託すか」という、委ねる範囲も明記します。本人の希望を予め伝えていたとしても、元々の状況とは違う状況になることや、新たな選択肢が出てくるようなこともあるからです。

そういったときに、代弁者の判断を自身の判断としてよいのか、最後まで自分の希望のとおりにしてほしいのかを書いておきます。

かかりつけ医や相談している医療介護福祉職の情報

日頃からご自身の状態や希望を把握してくれている医療機関、ケアマネジャー、相談支援専門員などの連絡先を明記します。せっかく話し合っていたのに、その情報が生かされないまま治療が進むということをできるだけ防ぐためです。

書いてあると助かる情報

話し合いを行った日と参加者のメモ

「いつ、誰(家族、医師、ケアマネジャー等)とこの希望について話し合ったか」をメモしておきます。

記載された内容がどの時期の希望なのかも大切です。

記載例

■治療の希望
回復の見込みがない終末期においては、過度な延命処置(人工呼吸器等)は希望しません。でも、一時的な病気や事故で回復の可能性が高いのであれば、必要な治療を行ってほしいです。
理由:私は、自分の意思を伝えられる状態で、家族と過ごす時間を大切にしたいと思っています。治療方針を考える際には、単に命を長く保つことだけでなく、回復の見込みや治療による負担、その後の生活についても考慮してほしいです。
■病名の告知の希望
病名や余命は全て隠さずに教えてほしいです。
理由:遺された時間を知ることで、最後の時間を後悔なく有意義に過ごせると考えています。
■介護の希望
できるだけ住み慣れた自宅で、自分でできることは自分でしながら過ごしたいとは思っていますが、家族への介護の負担がかかるようなら、資産状況に応じて施設への入所を希望します。
理由:自分の生活リズムで、できることは自分でしたいと思いますが、どんな状況でも介護をされたくないとは思っていません。家族に負担をかけないことを優先させたいです。
■代弁者(自分の代わりに判断を支えてくれる人)
・長男 ○○(連絡先:090-XXXX-XXXX)
・本人への依頼・承諾:長男に依頼して、承諾済みです。
・委ねる範囲:私の希望を基本としてほしいです。でも、実際の状況、回復の見込みなどで判断に迷う場合は、私が大切にしていることをふまえ長男と医療チームがしっかり話し合って決めてほしいです。
■ 話し合いの記録
・最終話し合い日:2026年○月○日(長男、主治医:〇〇先生、ケアマネ:〇〇さん)
・連絡先:○○病院(主治医:○○先生)、ケアマネ:〇〇さん

まとめ:一人でノートを作成して終わらず、「話し合うこと」が大事

医療・介護の希望は、エンディングノートに記入して終わりではありません。自分が何を大切にし、どのような暮らしを望んでいるのかを整理し、ご家族や信頼できる医療・介護関係者と共有しておくことが大切です。

こうした対話を繰り返し、本人の意思や価値観を共有していく取り組みが、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)、いわゆる「人生会議」です。

まずはノートをきっかけに、ご自身の考えを整理するところから始めてみましょう。そして、できればその内容を大切な人と話し合い、状況や気持ちの変化に応じて見直していくことをおすすめします。

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この記事を書いた人

北九州市・小倉南区を中心に、理学療法士の経験を持つ行政書士として、シニア世代とそのご家族が笑顔で未来へ進むための『健康終活』をサポートしています。 エンディングノートの書き方や遺言書の準備で「我が家の場合はどうすればいい?」と迷われたら、まずは近所の相談相手として、お気軽にお声がけください。

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